ベーグルは、なぜ茹でるの?
こんな疑問にお答えしていきます!
・ベーグルを茹でる(ケトリング)理由 ・茹でるときに注意すべきポイント ・茹でるときに砂糖を入れる理由
ベーグルは、沸騰したお湯に入れ茹でる「ケトリング」と呼ばれる工程があります。
そこが通常のパン作りとの大きな違い。
パンをゆでる、ちょっとビックリですよねΣ(・□・;)
なぜベーグルはゆでるのか、茹でるコツについて詳しく解説していきます。
素人ながら、ベーグル作りを長年続けています。
ときどき自作ベーグルをイベント等で販売しています。
https://bagelfulness.com/profile/
ベーグルを茹でる理由|そもそもなぜ茹でる?【茹でないとどうなる】

ベーグルの食感といえば、外はパリパリ、中はモチモチ。
まさにその食感を作り出すうえで重要なのが、このケトリングの工程です。
小麦粉に含まれるデンプンの話
そもそもベーグルの主成分である小麦粉についての理解が必要なので、少しだけ小難しい話をしますm(__)m
小麦粉には、タンパク質などいろいろな栄養素が含まれています。
ただ、実はその70%がデンプン(炭水化物)。
デンプンは一体どんな働きをしているかというと、特徴の一つとして糊化(α化)現象があります。
でんぷん粒は加熱すると水を吸収して膨らみ、さらに加熱すると膨潤という状態になります。
膨潤はゼラチンのようなブヨブヨ状態、体積は数倍にふくらみます。
温度上昇とともに水を吸収したデンプンは、糊化(アルファ化)に突入。
「糊化(アルファ化)」はいわゆるネバネバ状態です。
まさにケトリングは、ベーグルの生地表面を一度ネバネバ状態にする工程です。
糊化(アルファ化)の効果

糊化のピークは85〜90℃ぐらいで、それ以上加熱するとデンプンは固い状態に変化します。
つまり、ゆでると表面は固くなり、膨らむチカラを抑えようとします。
一方、中の生地は熱で膨張しようとする。
この「おしくらまんじゅう」効果で、中の生地に弾力が増し、モチモチになるわけです。
固くなった外側も焼きなりの熱で水分が飛び、パリッと艶のある感じになります。
つぎに、ベーグルを茹でるコツを解説していきます。
ベーグルを茹でるコツ・5つの注意点(ケトリング必勝法)

美味しいベーグルを作るために必要な、ケトリングの注意点は以下5つ。
①茹でる温度 ②茹でる時間 ③ケトリングに砂糖を入れる理由 ④浮く・沈む、どっちがOK? ⑤フライパン or 鍋どっちがよい?
ベーグルを茹でる温度

お湯に入れる前のベーグル生地の表面温度はかなり低いです。
デンプンの糊化にとって、適正温度は85〜90℃ぐらいといわれてます。
なので、一度沸騰したら少し弱火にする。小さい気泡がフツフツ出ている状態が目安です。
沸騰している状態(100℃)でゆでると、生地が膨らまないまま一気に表面が糊化してしまいます。そうすると生地にハリが出ることもないため、焼成後は生地表面のシワの原因にもなります。

ベーグルの茹で時間(ケトリング)

茹で時間は、片面30秒から1分程度。
ケトリングは生地表面のみを糊化させることが目的。必要以上に茹でると内部まで糊化します。
そうすると、焼き後に表面が厚くなってしまい、さらにシワになりやすくなります。
ケトリングにはちみつ・砂糖を入れる理由

ケトリングには砂糖などを入れますが、大きく二つ効果が得られます。
- 酵母のエサとなり、発酵が促進される
- 糖が熱でカラメル反応を起こし、生地表面にきれいな焼き色をつける
砂糖以外に、はちみつ、水飴、モラセス(シロップ)、モルトパウダーなども使われます。
自分は「モルトパウダー」を使うことが多いです。
砂糖不使用にしたいなら、おすすめです。
それぞれ糖質が異なるので、焼き色のつき方が変わってきます。表にまとめてみました。
糖質 | 焼き色 | |
---|---|---|
砂糖 | ショ糖 | 〇 |
はちみつ | 果糖・ブドウ糖 | △ |
モラセス | 廃蜜糖 | ◎ |
みずあめ | 麦芽糖 | × |
モルト | 麦芽糖 | × |
「ショ糖」からなる砂糖に対し、はちみつは単糖類の果糖やブドウ糖を主成分としています。
「ショ糖」や「果糖」には焼き色を付きやすくする働きがあります。
逆に、水あめ・モルトの主成分である「麦芽糖」には、焼き色を付きにくくする働きがあります。
色白系ベーグル、こんがり焼き色がついたベーグル、そのあたりはこの糖質によって多少コントロールができますよ。お試しあれm(__)m
浮く・沈む、どっちがOK?

結論、数秒して浮いてこない場合、発酵がたりてない可能性が高いです。
ニューヨーク系のずっしりベーグルの場合は、「数秒沈んで、浮いてくる」ぐらいが目安。
発酵具合の見極めにしてみてください。
フライパン or 鍋どっちがよい?

茹でるときフライパンがいいのか、鍋がいいのか、よくご質問いただくことがあります。
どちらでもケトリングはできますので、ご自宅にあるもので使ってみてください。
それぞれメリット・デメリットがありますが、個人的には鍋をおすすめします。
メリット | デメリット | |
フライパン | 少量の水で十分 沸騰時間が短縮できる | ひっくり返しにくい 水はねする |
鍋 | 深さがあり、ひっくり返しやすい 水跳ねしない 浮かんでくるかどうか分かり易い | 水量が必要(沸騰まで時間がかかる) |
「なぜベーグルはゆでるのか、茹でるコツ」について詳しく解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m
実際のケトリングは、こちらの動画でもご覧いただけます。
ぜひチェックしてみてくださいね!